
学校の授業中に立ち歩く小学生
そして、そう言う場所に出会えた生徒は、自尊心を損なうこと無く、生きる力を育てられるのです。

小学2年生の男の子が、まなびの森に入ってきたのは、学校の授業中の立ち歩きや教師への反抗的な態度で、担任の先生からの苦情にお母さんが困り果ててのことでした。
お父さんの影響で幼稚園の頃からラグビーをしていて元気いっぱいの彼は、天真爛漫とでもいうのでしょうか、笑顔で自分に悪いところがあるなどと思ってもいないような態度で面談に来ました。
そんなわけで、学校の授業などほとんど聴いていませんでしたので、授業にもついて行けていません。
学校の先生との相性が悪すぎて、担任の先生が彼に寄り添ってくれることもないと言うことで、個別指導の塾なら、しっかりと彼のことを見てもらえるという期待を持たれていました。
実際に塾での指導が始まると、多動の様子ははっきりありましたが、一対一での指導なので、彼の好きにはできません。
ただ、注意が直ぐにあちこちに飛ぶので、それを抑えながら、対話を続けました。
少しずつ、まなびの森での授業に慣れてくると、学校の勉強についてもついて行けるようになってきました。
そして、勉強が分かるようになると、学校での立ち歩きも改善されていきました。
彼は小学校の6年生が終わるまで、まなびの森に通っていましたが、ラグビーを中学でするために、ラグビー部のある中学校へ越境入学することになり、まなびの森は一度辞めることになりました。
もう、集団の授業でも、立ち歩くこと無く聞けるようになっていたので、他の集団塾で中学では勉強をしていました。
ただ、勉強はそれほど得意では無かったようで、ラグビー部の強い私立高校へスポーツ推薦で入学をしました。
しかし、その学校でいじめに遭い退学をしたところで、彼のお母さんから相談がありました。
公立高校への編入を考えているので、そのための指導をして欲しいと言うことでした。
編入試験まで4ヶ月、週3回の通塾をして試験対策をしました。
しかし、彼のいた高校と編入希望の高校では偏差値的にかなりの開きがあり、正直言って厳しい状況でした。
私の心の中では、かなり厳しいと思っていましたが、それは口には出さず、できる限りの学力の底上げをすることに努めました。
仮に編入試験に失敗しても,それまでに頑張って積み上げた学力は後に生きます。
彼も、正直言って難しいことは分かっていたようです。
駄目だったら、通信制高校のサポート校に編入すると、弱気になると口にしていました。
それでも、編入試験の直前まで、一日も休むこと無く、宿題も頑張って、彼なりには頑張ってくれたと思います。
結果は駄目でした。
彼は言っていたとおり、通信制高校のサポート校に編入し、大学に進学しました。
彼が大学生の時に、まなびの森の近くのコンビニで彼はアルバイトをしていて、知らずに私が入っていくと、元気に私の名前を呼んでくれました。
そして、嬉しそうに近況を教えてくれました。
今でも、教室の前で見かけると、笑顔で挨拶をしてくれます。