自称コミュ症の生徒でした。
少し自己評価が低く、なかなか人と打ち解けられないのですが、とても仲間思いな面のある優しい生徒でした。
ただ、ややこだわりの強いところがあり、こうと決めたら曲げられないのが玉に瑕でした。
彼は中学一年の三学期に数学の勉強を教えて欲しいと言って、元々まなびの森にいた生徒の紹介でやってきました。
成績はほどほどに良いのですが、がつがつと成績を伸ばそうという感じでもなく、マイペースな学習態度です。
受験の時には第一志望の公立高校も滑り止めの私立高校も、自分でここと決めたところを絶対に譲ろうとしないのですが、実際には学力には問題ないのですがやや内申点が不足していて、公立高校の受験に際しては、当日のテストの出来次第と言っていたのにもかかわらず、勉強のペースは変わることはありませんでした。

 

結果的には、公立高校は不合格となり、滑り止めの私立高校に行くことになりました。
ここで一旦、塾は辞めたのですが、半年後に不登校がちになり勉強の遅れを取り戻すために、塾に戻ってきました。
結局不登校になって、二年生の時に退学しました。
不登校の理由は、対人関係というのでしょうか、いじめがあったりしたわけではないのですが、深い人間関係を築くことができずに、仲良しの集団の中で浮いてしまったのがしんどかったようです。

 

退学後、通信制高校に編入して、アルバイトも始めました。
みんなばらばらの通信制高校は、彼にとっては逆に気楽で良かったようです。
ただ、高2終了時に高校卒業資格認定試験の存在を知った彼は、このままダラダラと通信制高校で学ぶことに疑問を感じるようになりました。
そして高認を取得して、大学受験の勉強に力を注ぎたいと思うようになりました。

 

高3の夏に高認の必要科目を受験した彼は、通信制高校の勉強のペースを落として、大学受験の勉強に全力を注ぐようになりました。
大学では英語を学びたいと言うことで、受験科目の英語と現代文の演習を続けて、無事に大学に合格することができました。

 

ただ、その後ですが、元々が型にはまった生き方ができる生徒でもなかったので、大学卒業後に映像関係の会社で勤めた後、元々の趣味だった音楽を極めたいと言って、音楽教室でアルバイトをしながら音楽の道を歩んでいます。

 

何故かまなびの森の生徒には、自分の趣味というか好きな芸を生きる支えにしていく生徒が少なくありません。
他にも、演劇をずっと続けている生徒や、音楽科に進んで楽器の演奏を今でも続けている生徒、芸術大学を出て文化財修復の仕事をしている生徒など、勉強とはあまり関係はない道を選ぶ勇気をまなびの森で得ていく生徒がちょくちょく現れます。