30点でも勉強が面白いと言えるようになった生徒

30点でも勉強が面白いと言えるようになった生徒

テストの点が30点で入会してきた生徒がいました。
それまで、カンで答えて30点前後の点を取ってきたと言ってました。
それではいつまで経っても力は付きませんし、楽しくもありません。
ですから、私は彼に、「同じ30点でも、これは分かると言う問題に答えて30点取れるようにしよう」と伝えました。
カンでも30点取れると言うことは、まったく何も分かっていないわけではなく、知識が整理されていないままで、たまたま覚えていたところがあれば正解しているという感じなのです。
だから、彼の覚えていることを整理して、問題を解く時にはカンでなくて、必ず何故そう答えるのかを自分で説明する練習をしました。
とても地味な作業です。
でも、彼は私と一緒にその作業を続けてくれました。

 

入会から3ヶ月後の定期テストで、彼はやはり30点くらいの成績でした。
しかし、彼は、「今回のテストは、ちゃんとこれが正解だと自分で分かって答えられた!」と笑顔で喜んで報告してくれました。
彼にとっては、見せかけの点が上がることよりも、ちゃんと30点に見合う学力が自分に付いていることを実感できたことが嬉しかったのです。

 

その後も、一つ一つ、ゆっくりではありましたが、彼はできることを増やしていきました。
テストの点は、40点くらいにしかなりませんでしたが、彼は手応えを感じて入試に臨むことができました。
当て物ではなく、自分の持っている本物の力で入試に臨めたのです。
彼は、偏差値的には低い高校に進学しましたが、勉強に失望はしませんでした。
入学後に、教室に遊びに来た彼が言った言葉は、「今、数学が面白いねん。もっと色々できるようになりたい」でした。

 

成績が良いから勉強が好きになるというわけではありません。
成績が良くても勉強が嫌いな人はいっぱいいます。
勉強が嫌いな人は、学校を卒業したら自分から勉強をすることはないでしょう。

 

彼の学校の授業レベルはあまり高いとは言えません。
でも彼は、分かるようになる喜びを感じられたから、勉強が楽しいと言えるようになったのです。
そんな経験をした人は、大人になって自発的にも学ぶことができます。

 

そのような体験を、一人でも多くのお子さんにして欲しいと願っています。