完全に不登校になっている生徒が中3になる直前にやってきました。
元々発達障害があって、個性的なお子さんだったようですが、おとなしくて素直な印象でした。
中1の頃は、休みがちながら学校に通ってクラブも楽しんでいたそうです。
しかし、中2になってから、発達障害の二次障害で強迫神経症が現れてからは、学校の教室に入ることができなくなり完全な不登校となってしまいました。
ただ、引きこもりになっているわけでもなく、父親以外の家族とのコミュニケーションは円滑に取れていて、学校に行っていない間も、母親と一緒にテニスをしたり、犬の散歩に出かけたりはしていました。
まなびの森にやってきたのは、二次障害が少し落ち着いてきたころでした。
ちょうど受験生になる直前で、将来のことについてもお母さんも本人も不安に感じて、相談に来られたのでした。
将来の希望や、どんな高校に進みたいのかは決まっていませんでしたが、とにかく何もしないで中3を終えるわけにはいかないと言うのが、お母さんと本人の気持ちでした。
学習については、中1以降ほとんど進んでいません。
なので、高校に進むのであれば、とりあえずやっておかないといけないこととして、英語と数学を一緒に勉強することになりました。
高校については。公立全日制は内申点の関係で厳しいのと、いきなり毎日通学をするというのも続くかどうか怪しいと言うことで、通信制高校への進学を視野に入れての学習でしたので、受験についてはそれほど心配はありません。
丁寧に、中学の内容を、できるところまで進めておけば、それで通信制高校の授業の単位は取れます。
なので、あまり本人にプレッシャーを与えないように気をつけて、モチベーションを保てるようにいろいろな話を交えて一緒に勉強を続けました。
不登校のお子さんの中には、とても強い覚悟を持って受験勉強に取り組めるお子さんもいますが、ほとんどの場合は、ガラスの心臓だと思って間違いありません。
ちょっとしたつまずきで積み重ねてきた自信は崩れ、何とか保ってこれた将来への希望も霧散してしまいます。
そうなると、塾にも来れなくなるのです。
このお子さんもまた、ガラスの心臓でした。
中1レベルの英語が住んだ辺りで、どうしても分からないところが出てきたて、英語への意欲はなくなってしまいました。
そこで、無理に英語を進めることは止めて、数学だけでもがんばっていこうと言うことになりました。
数学は元々好きだったので、スポンジが水を吸い込むようにどんどん新しいことを吸収していたのです。
英語が駄目なら、数学でその分、点を取ろうと話し合って、モチベーションを保ちました。
それからも、気分が乗ったときだけ英語はすることにして、受験のシーズンを迎えました。
当初、私立の通信制高校をと思っていたのですが、ダメ元で公立の通信制高校を受験したいと本人が言い出したので、チャレンジすることになりました。
内申点もほとんど付かない状態で、どうなるだろうと私も不安でしたが、無事に合格を勝ち取ることができました。
塾でも勉強ははここで終了しました。
高校進学後、通信制ですが、週に何日かは通学する学校でしたので、彼はしばらくは機嫌良く学校に通っていたそうです。
しかし、残念ですが卒業までに、発達障害の二次障害が再びひどくなり学校を辞めざるを得なくなりました。
しばらくは自宅療養をしていたそうですが、3年かけて二次障害を乗り越えて、社会に復帰し、今はアパレル系のショップで働いています。
不登校や発達障害が絡むお子さんは、いわゆる普通の人生を歩むのは、一筋縄ではいきません。
でも、彼らなりに成長をしています。
なので、普通の人の色眼鏡で彼らを見るのではなく、ありのままの彼らを受け止めて、支えていかないといけないのだと、彼と一緒に勉強をしていて思いました。