
個別指導塾は多くの生徒にとって有効な学習手段ですが、すべての生徒にとって最適とは限りません。
個別指導が向いていない生徒には、学習スタイルや性格、目的において集団指導の方が効果的な場合があります。
以下では、個別指導が向いていない生徒の特徴を具体例とともに説明します。
1. 競争意識が強く、集団の中で刺激を受けるタイプの生徒
他人と競い合うことでモチベーションが高まる生徒には、個別指導よりも集団塾の方が適しています。
たとえば、中学3年生のA君は、同じ志望校を目指す仲間と切磋琢磨することでやる気を維持していました。
模試の成績表を見て「〇〇君に負けたくない」と奮起し、勉強に励むタイプです。
個別指導塾に移った際、周囲の刺激が減り、目標意識が曖昧になってしまい、結果として学習意欲が低下しました。
A君にとっては、集団の中で競争しながら学ぶ環境の方が適していたのです。
2. 自主性が乏しく、受け身になりがちな生徒
個別指導では、生徒の主体的な学習姿勢が求められます。
講師が一人ひとりに合わせて指導するとはいえ、生徒自身が「何を学びたいか」「どこがわからないか」を明確にする必要があります。
小学6年生のBさんは、勉強に対して受け身で、講師に言われたことだけをこなすタイプでした。
個別指導ではその場限りの理解にとどまり、家庭学習も定着せず、成績が伸び悩みました。
一方、集団塾に移ったことで、周囲の生徒と同じ課題に取り組む中で自然と学習習慣が身につき、成績も向上しました。
3. コミュニケーションが苦手で講師との距離感にストレスを感じる生徒
個別指導では講師との距離が近く、対話を重視した指導が行われますが、それが逆にストレスになる生徒もいます。
中学2年生のCさんは、人と話すのが苦手で、講師との1対1の空間に緊張してしまい、質問もできずに終わることが多くありました。
集団塾では、講師の説明を聞きながら自分のペースでノートを取ることができ、周囲の生徒の質問を聞くことで理解が深まるというメリットがありました。
Cさんにとっては、適度な距離感のある集団指導の方が安心して学べる環境だったのです。
4. コスト面で継続が難しい家庭環境の生徒
個別指導塾は、講師1人に対して生徒2~3人という体制であるため、集団塾に比べて費用が高くなる傾向があります。
高校1年生のD君は、英語と数学の成績を上げるために個別指導塾に通い始めましたが、月謝が高く、家庭の負担が大きくなってしまいました。
結果的に短期間で退塾することになり、学習の継続性が損なわれました。
集団塾であれば、比較的低コストで安定した指導が受けられ、長期的な学習計画を立てやすかったかもしれません。
5. 多様な意見や考え方に触れて学びたい生徒
集団塾では、講師だけでなく、他の生徒の質問や考え方に触れることで、視野が広がるという利点があります。
高校2年生のEさんは、国語の現代文で複数の解釈を聞くことで理解が深まるタイプでした。
個別指導では講師の視点に偏りがちで、Eさんは物足りなさを感じていました。
集団塾に移ったことで、ディスカッション形式の授業や他の生徒の意見に触れる機会が増え、より多角的な思考力を養うことができました。
以上のように、個別指導が向いていない生徒には、競争意識が強い、自主性が乏しい、コミュニケーションが苦手、コスト面で継続が難しい、多様な意見に触れたいといった特徴があります。
学習環境は生徒の性格や目的によって最適な形が異なるため、個別指導と集団指導の違いを理解し、自分に合ったスタイルを選ぶことが重要です。