

生まれつき耳が聞こえないと言う生徒のお母さんから問い合わせがありました。
え?それはどうかな?と思ったのですが、話を聞いていると補聴器を使うことで、だいたいは普通に会話ができると言うことで、それなら大丈夫だと思って受け入れることになりました。
私自身は以前、個人的に耳の聞こえない人と交流があり、その時は読唇術と筆談で会話をしていたことがあったので、そう言うやり方になるかと思っていたのですが、その必要は無く安心しました。
その生徒は、大阪府立聴覚支援学校の2年生で、聴覚障害、視覚障害の人のための大学である筑波技術大学への進学が、親御さんの希望でした。
面談の時に、その大学の入試過去問題も持ってこられて拝見したところ、問題的には基本を抑えていたらある程度できそうだと思いました。
問題は、本人の学力とモチベーションです。
でも、面談の席では、親御さんの手前だからか、あまり自分の意思を表すことはありませんでした。
体験授業の後、入会をして実際の授業を始めると、教科書の内容がきちんと定着されていない状態でした。
そこで、受験に必要な数学と英語を基礎からやり直して、受験に間に合うようにカリキュラムを考えました。
補聴器を付けての授業は、ほとんど普通の生徒との指導と変わること無くできましたが、早口に担ったり、滑舌が悪かったりすると上手く伝わらないことがあったので、彼が理解できるようにはっきりとした発音でややゆっくりと話すようにしました。
段々と彼も自分の思うことや疑問を口にするようになってくると、勉強だけではなく、人生の疑問について話し合ったり、将来のことについても本音を口にするようになり、どうすれば良いだろうかと一緒に考えたりもしました。
すると、実は彼は親御さんの希望する大学にはあまり行きたくなく、日本史が好きなので大学で日本史を勉強したいという事が分かりました。
まなびの森での勉強の様子を見ている限りでは、普通の大学でもやっていけそうな気がしたので、そのことを親御さんに伝えて、志望校を変更することになりました。
ところが、高3のGWごろに、大学進学はしんどいから就職をしたいと言うようになりました。
そして、親御さんも交えて相談をして、障害者の枠で市役所の採用試験を受けてみようと言うことになりました。
あまり時間はありませんが、ここから公務員試験の準備となりました。
公務員試験は、ただの知識問題だけでは無く、大学受験とも違う特有の思考を当問題もあります。
それに対応できるように演習を繰り返しました。
結果としては、準備の時間が足りず残念な結果になりました。
そのため、高校卒業後の進路として、専攻科に残ることになりました。
専攻科に残りながら、次の年も公務員試験に挑戦させたいという親御さんの意向でしたが、彼自身はあまり乗り気では無かったようです。
高校卒業を機にまなびの森は退会することになりました。
その後のことについては、音信はありませんが、facbookで彼のアカウントを見つけ、今でも元気そうにしていることが投稿から分かります。