夢を応援されてまなびの森に入ってきた高校生

まなびの森では生徒の夢や目標をこちらの見方で否定することはありません。
ですが、正直言って無理だよな~と感じることがあるのも事実です。
それでも、私は子どもたちの夢を応援します。
なぜなら、その夢がその生徒が頑張れるモチベーションだからです。
目標や夢は他人から押しつけられたものではいけません。
必ず、本人の心の底から湧いてできてきたものでなければ、努力を支えるものになならないのです。
そんな感じで、私に夢を肯定されて、どのようにすれば夢を叶えられるのかを一緒に考えようと背中を押されて、まなびの森に入って来た生徒は生徒はたくさんいます。


ここでは、ある高校2年生のことを書きます。
市内の私立高校に通う男子でした。
彼は、高校でちょっとしたことで人間関係でトラブルになり、やや不登校気味になっている時期がありました。
でも、その時の経験で彼は、小学校の教師になりたいと言う夢を持つようになりました。


ただ、彼の親戚に教師がいて、小学校の教師は時給換算をすると超ブラックだからやめておいた方が良いと言われて心が揺れていました。
確かに、そう言う面もあります。
ですが、教師を目指す人の多くはよい待遇を求めているのではないこと、また、昨今の流れでは教員の働き方改革も進んでいることを挙げて、その親戚の言われることは、あまり気にしない方が良いと彼に伝えて、教師の仕事の尊さややりがいについて説明すると、彼の表情がぱっと明るくなりました。
おそらく、彼自身教師の仕事が大変であることは分かっていたのでしょう。
それでも、その仕事はやり甲斐のあるもので、目指すことは良いことだといってくれる人が現れるのを待っていたのだと思います。


体験授業を経て、彼はまなびの森に入会しました。
そして、彼の苦手な数学と英語を一緒に勉強することになりました。
英数の学力を見る限り、このままでは教師になるには厳しいなと思いましたが、それは口にせず、どのようにして教育学部のある大学に入学できるところまで学力を引き上げようかと、試行錯誤しながら授業をしていきました。
単に学力がないことは問題ではないのですが、関心が持てないのは大問題です。
特に、教師をするに当たって、子どもの前では何事に対しても関心を持っているように振る舞うことはとても大切です。


私は、彼に苦手なもに対しても関心を持ち続けることの大切さを説き続け、どのようにすれば楽しいと感じてもらえるかをいつも考えながら説明をしていました。
ですが、人の考え方は、なかなか一筋縄では変わりません。


入会して一年が過ぎて、高3の夏休みに入り、推薦入試なら後4ヶ月というくらいになって、ようやく英語に対して前向きに取り組めるようになってきました。
まだまだ、得意と言うほどではないですが、それほど苦痛ではないと言うくらいになってきたのです。


そして、推薦入試の第一希望の大学に何とかですが合格することができました。
大学合格後も、切りの良い頃まで英語の勉強を一緒にしました。
大学に入るためだけではなく、小学校の教師として働くようになったときに。少しでも子どもたちに英語を教えられるようになるためです。


そして、彼は高校を卒業して、晴れて教師を目指して教育学部に入学しました。
それから4年後、町中でばったり彼とで会うと、彼は教師になることは辞めて人材派遣会社に入社すると言っていました。
大学にいる間に、目標は変わっていたようです。
しかし、とても明るい笑顔で挨拶をしてくれた彼を見ていて、入試に向けて一緒に頑張っていた時間や努力は決して無駄でなかったのだなと思います。


そして、その努力ができたのは、彼の当時の夢を否定しなかったからだったのだと思うのです。