個別指導塾では、大学生などの学生講師が多く活躍しています。
彼らは年齢が近く親しみやすいという利点がある一方で、指導の質や責任感の面で課題も存在します。
以下では、学生講師のデメリットについて具体例を交えながら詳しく説明します。
1. 指導経験の不足による教え方のばらつき
学生講師は教育の専門的な訓練を受けていないことが多く、指導経験も浅いため、生徒の理解度に応じた柔軟な対応が難しい場合があります。
たとえば、中学2年生のA君は数学が苦手で、個別指導塾に通い始めました。
担当の学生講師は自身の受験経験をもとに教えていましたが、A君がつまずいている根本的な原因を見抜けず、公式の暗記や問題演習に偏った指導になってしまいました。
結果として、A君の理解は深まらず、成績も改善されませんでした。
2. 教育的視点や責任感の不足
学生講師は本業が大学の学業であり、教育者としての責任感が十分に育っていない場合があります。
高校1年生のBさんは、英語の文法に苦手意識があり、個別指導塾で学生講師に教わっていました。
しかし、講師が授業の準備を十分にせず、毎回その場しのぎの指導になっていたため、Bさんは体系的な理解ができず、混乱してしまいました。
さらに、講師が試験期間になると急に欠席し、代講が入ることも多く、継続的な指導が受けられませんでした。
3. コミュニケーション能力の差
学生講師は年齢が近い分、親しみやすさはあるものの、すべての講師が高いコミュニケーション能力を持っているわけではありません。
中学3年生のCさんは、内向的な性格で、講師との信頼関係が学習意欲に直結するタイプでした。
しかし、担当の学生講師は会話が淡泊で、Cさんの表情や反応を読み取る力が乏しく、質問しづらい雰囲気になってしまいました。
結果として、Cさんは疑問点を抱えたまま授業を終えることが多く、学習効果が低下しました。
4. 指導内容の偏りや誤りのリスク
学生講師は自身の得意科目や経験に基づいて指導するため、内容が偏ることがあります。
場合によっては、誤った情報を教えてしまうこともあります。
高校2年生のD君は、物理の力学分野で苦戦しており、学生講師に教わっていました。
しかし、講師が公式の使い方を誤って説明し、D君はそのまま覚えてしまいました。
模試でその知識が通用せず、講師の指導ミスが原因で得点を落とす結果となりました。
5. 長期的な指導が難しい
学生講師は卒業や就職活動、留学などで退職することが多く、長期的な指導が困難になる場合があります。
小学6年生のEさんは、中学受験に向けて1年間の継続的な指導を希望していましたが、担当の学生講師が半年で退職してしまい、別の講師に交代することになりました。
新しい講師との相性が合わず、学習のペースが乱れてしまい、受験対策にも支障が出ました。
以上のように、個別指導塾における学生講師には「指導経験の不足」「責任感のばらつき」「コミュニケーション能力の差」「指導内容の偏り」「継続性の欠如」といったデメリットがあります。
もちろん、優秀な学生講師も多く存在しますが、安定した指導を求める場合には、講師の選定や塾のサポート体制を慎重に見極めることが重要です。
生徒の性格や学習目的に応じて、適切な講師を選ぶことが、個別指導塾の効果を最大限に引き出す鍵となります。